自然界の益虫でもあるシロアリの自然界での役割

白蟻は、
人間の作った家を加害する害虫ですが
自然界からすれば、生態系になくてはならない益虫です。

今回は白蟻の自然界でのその役割を大きく２つご紹介したいと思います。

そのためには、現代のコンクリートの街ではなく
江戸時代あたりの時代を想像してみてください。

森の掃除屋

プラスチックや鉄くず、コンクリートなどが存在しなかった時代
自然界のゴミと言えば、動物・植物の死骸でした。

動物の死骸は、また別の生き物の餌となり
最後には、バクテリアなどにより消火され土に還ります。

逆に、植物に目を向ければ
落ち葉や木の枝、また朽ち果てた木々はどのように土に還っていったのでしょうか？

実は、植物の「実」を食べる生き物（鳥など）や
「種」を食べる生き物（リスなど）
「葉（草）」を食べる生き物（草食動物）は多々いますが
枝や木（茎）を食べる生き物はそう多くありません。

光合成をして生きている植物ではなく
すでに細胞が死んでいる枯れ木や落ちた枝などは誰も好んで食べないのです。
それは、成分である「セルロース」を消化（分解）出来る生き物がほとんどいないからなのです。

そして、白蟻は
このセルロースを食べ消化できる数少ない生き物なのです。
中にはカブトムシの幼虫のように
ある意味では「食べる」ものもいますが量は微々たるもの。
自然界でのこの誰も「食べられないもの」を食べて栄養として生きているのがまさに白蟻なのです。

極端な言い方をすると
白蟻がいないと、枯れた枝や落ち葉が腐るまでずっと堆積し続けることになります。

そこら中が腐った「たい肥」の臭いに満ちた世界では誰も生きていきたくないかと思います。

ちなみに、白蟻は生きている木は食べません。
これは、生きている木は自ら化学物質を分泌して食べられないようにしているからです。
ヒノキチオールなどがその代表的なものです。
中には、倒れてもいない木の一部が食べられていることもありますが
それは、その部分の細胞が死んでいる木です。
立ち枯れともいわれる状態です。

植物に空気を届ける

植物というのは、水と太陽だけでは生きていけません。
生きていくのに、酸素が必要なのです。
それでは、この酸素をどこから得ているのかというと根っこからです。

ご存じの通り、白蟻は地中に暮らしています。
そして、当たり前ですが地中にトンネルを掘って巣を作っています。
このトンネルが、地中に酸素を行き渡らせる役割を担っているのです。

まとめ

この２つの役割が最も大きいのですが
白蟻だけでそこまで大それたことが出来るのか？
と思われる方も多いと思います


実は、世界の白蟻をすべて集めると
人類すべて（77億人）の体重よりも重くなります。


Biomass (ecology)

人類をすべて合わせると3.85億トン
白蟻をすべて合わせると4.45億トン
だそうです。

これだけの数の白蟻が地中にいるのであれば
生態系に与える影響も頷けるのではないでしょうか？