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羽アリは羽が生えたシロアリ?白蟻の羽アリをご紹介
カテゴリ:白蟻の生態
私が白蟻床下点検の時によく聞かれる質問にあります。
「羽蟻は白蟻ですか?」
そして、いつもこう答えます。
「羽が生えた白蟻は羽蟻です。」と
そもそも「羽」がついた「蟻」は「羽蟻」なのです。
それが、白蟻でも黒蟻でも、羽がつけば羽蟻なのです。
今回は、白蟻の羽蟻を紹介していきたいと思います。
実は、白蟻は1つのコロニーに何千・何万匹といますが
そのすべてが兄弟姉妹なのです。
同じ親でもある王と女王から生まれた子供たちです。
ですので、兄弟姉妹同士で子を作ることは法的にも禁止されています。
しかし、普段土の中にいる白蟻が
自分たちの巣の兄弟が作ったトンネルを通っていても、この広い土の中、他の巣の異性と出会うのはほぼ不可能なのです。
そのため、巣の中数%ほどの男女が毎年、他の巣の異性と出会うために
そして、新たな巣を作るために飛び立つのがこの群飛(ぐんぴ)という行動なのです。
1つの巣に1万匹がいるとすると、たとえ3%程度でも「300匹」が一斉に飛び立つ現象となります。
白蟻は、白い。
これは、紛れもない事実です。
しかし、外に出るために羽蟻となる白蟻は黒いのです。
なぜでしょうか?
太陽の光・紫外線に耐えるためは
黒くなるためのメラニンという色素が必要なのですが
メラニン色素を作り出すためには、相応のエネルギーが必要になります。
白蟻は、土の中で住んでいるため、太陽の光に当たることがありませんので
もちろん、メラニン色素は必要ないため、真っ白なのです。
真っ白い白蟻が太陽の下にしばらく出ると、太陽光が体を突き抜けボイル状態で死んでしまいます。
太陽の光で腸内にいる食べた木(セルロース)を栄養としてエネルギーに変えてくれている大事なバクテリアも死んでしまいます。
そのため、白蟻は人間のいる場所には出てこないのです。(いえ、出てこれないのです)
しかし、これから外に出る白蟻の男女は違います。
太陽の光に耐えるためメラニン色素が必要になります。
そのため、白蟻なのに、羽蟻は黒く(もしくは赤茶色く)変身するのです。
余談ですが、昆虫のほとんどが蟻も含めて
ほとんどが黒に近い色をしているのがわかると思います。
成虫になると黒くなるカブト虫やクワガタ虫も、土の中で過ごす幼虫は白いのです。
黒いメラニン色素は、太陽の下で生きていくには必要なのです。
外に出られる「羽」と「黒い体」を手に入れると
次は、タイミングを合わせる必要があります。
なんせ、羽蟻は外に出てしまうと数日も生きていけないのですから。
ほとんどが当日に死ぬか天敵のクモなどに食べられます。
そこで、同じタイミングを白蟻世界の暗黙の了解として
ヤマトシロアリは4月~5月、イエシロアリは6月ごろと時期を同じくして飛び立つことになっています。
しかし、これでもかなりの幅があるため
さらにタイミングを合わせる必要が出てきます。
そこで、4月下旬から5月上旬の雨が降った次の晴れた日の午前中に羽蟻は飛び立ちます。
目の見えない白蟻でも、雨かどうかは地面が濡れているため湿度でわかりますし、
夜ではなく午前かどうかは、土の温度が上がってくると太陽が昇り始めたことがわかります。
ここまで条件を合わせれば、あとはどこで会うかのみです。
余談ですが、この時期に雨が降り、次の日に雨が止む場合
白蟻業者は「この日かな、出るのは」と皆が言い出します。
もちろん、この「雨+次の日が晴れ」というのは数回発生するため
1つの巣で1回どこかのタイミングで群飛が起こります。
よく、問い合わせをした方で
「昨日羽蟻が出たから、急いでホームセンターで殺虫剤買ってきて、スプレーしたら今日は止まってるから大丈夫ですよね?」という方がいますが
それは、止まったのではなく「全員出発した」ので今年は一旦終わっただけです。
たとえ運よく、群飛中に殺虫剤で退治できても、それは飛び立つ数%だけが死んだだけで
また、来年、違う場所から新たに増えた巣から数%が出ますし、残りの95%以上は床下で木を食べ続けています。
日にちも時間もほぼぴったりとなった。
あとは、集合場所をどこにするかです。
実は、羽蟻は遠くに飛んでいくことができません。
これは、神様が「わざと自分たちの意志で方向決めれない」ようにしているのです。
白蟻の羽アリが飛べるのは光に向かい上にだけで、「飛んでいる」というよりも「舞っている」というのが近い表現です。
どういうことかというと、自分の意志で飛んだとしてもどこに飛べば出会えるのかなんてわかりません。
それだったら、全員が同じ方向の同じ条件で飛べば同じ場所にたどり着きます。
それが、風なのです。
白蟻の巣は1軒の家の敷地に数個は存在していると言われています。
私たちが普段目にしないだけで、白蟻はどこにでもいるのです。
同じ敷地内もしくは数軒隣くらいまでの巣にいる男女が、
同じ風に乗って、同じ風の流す場所へ飛ばされます。
そこで、彼らは他の巣の男女と出会うのです。
地上に降り立った後、羽を切り離します。
もちろん、これだけの条件を揃えても
どこにメスが、オスがいるかは白蟻にはわかりません。
そこで、メスはオスを引き寄せるための性誘引フェロモンを出しながら進むことで
そのフェロモンの形跡を見つけた雄が、それを辿ってメスのいる場所を見つけ出します。
シロアリはどうやって意思疎通してるの?シロアリのフェロモンとは?
こうやって、ようやく出会うことが出来たペアは、
メスのお尻にオスがくっついて歩く「タンデム行動」を行い
さっそく、巣を作るために土の中に入ります。
タンデム行動をしている白蟻の男女
しかし、この出会いが人間の家の2階のベランダなどだった場合は最悪です。
そこに土がないため、結局その場所をうろうろして、最終的に息を引き取ります。
これまで出会ったこともない、約束すらしていない男女が
同じ日の
同じ時間に
同じ風に乗り
同じ場所にたどり着き
運命的に出会ったにもかかわらず
そのまま息絶えてしまうのです。
なんて悲しいことなのでしょうか。
昔はどこもかしこも土でしたが、今はどこもかしこもコンクリートです。
他の兄弟はうまくいったのでしょうか?
いえ、たいてい同じところで死んでしまいます。
きっと、来年も弟や妹たちが、風の吹き溜まりでもあるこの同じ場所(ベランダ)にたどり着き、そこで人生を終わりを迎えるのでしょう。
人間からすれば、毎回こんなところに来るな!と言いたくなりますが
白蟻も白蟻なりに大変なのです。
なぜ、白蟻なのに羽蟻と言われるのか
羽蟻がどうして白蟻なのに黒いのか
どうして、4月~6月に飛ぶのか
その理由を今回ご紹介しました。
もし、羽蟻が飛んできて困っている方がこの記事を読んで
少しでも寛大な心を持っていただければ幸いです。
「羽蟻は白蟻ですか?」
そして、いつもこう答えます。
「羽が生えた白蟻は羽蟻です。」と
そもそも「羽」がついた「蟻」は「羽蟻」なのです。
それが、白蟻でも黒蟻でも、羽がつけば羽蟻なのです。
今回は、白蟻の羽蟻を紹介していきたいと思います。
大量の白蟻の羽蟻が空へ飛ぶ立つ理由
実は、白蟻は1つのコロニーに何千・何万匹といますが
そのすべてが兄弟姉妹なのです。
同じ親でもある王と女王から生まれた子供たちです。
ですので、兄弟姉妹同士で子を作ることは法的にも禁止されています。
しかし、普段土の中にいる白蟻が
自分たちの巣の兄弟が作ったトンネルを通っていても、この広い土の中、他の巣の異性と出会うのはほぼ不可能なのです。
そのため、巣の中数%ほどの男女が毎年、他の巣の異性と出会うために
そして、新たな巣を作るために飛び立つのがこの群飛(ぐんぴ)という行動なのです。
1つの巣に1万匹がいるとすると、たとえ3%程度でも「300匹」が一斉に飛び立つ現象となります。
外に出るためにまず黒くなる
白蟻は、白い。
これは、紛れもない事実です。
しかし、外に出るために羽蟻となる白蟻は黒いのです。
なぜでしょうか?
太陽の光・紫外線に耐えるためは
黒くなるためのメラニンという色素が必要なのですが
メラニン色素を作り出すためには、相応のエネルギーが必要になります。
白蟻は、土の中で住んでいるため、太陽の光に当たることがありませんので
もちろん、メラニン色素は必要ないため、真っ白なのです。
真っ白い白蟻が太陽の下にしばらく出ると、太陽光が体を突き抜けボイル状態で死んでしまいます。
太陽の光で腸内にいる食べた木(セルロース)を栄養としてエネルギーに変えてくれている大事なバクテリアも死んでしまいます。
そのため、白蟻は人間のいる場所には出てこないのです。(いえ、出てこれないのです)
しかし、これから外に出る白蟻の男女は違います。
太陽の光に耐えるためメラニン色素が必要になります。
そのため、白蟻なのに、羽蟻は黒く(もしくは赤茶色く)変身するのです。
余談ですが、昆虫のほとんどが蟻も含めて
ほとんどが黒に近い色をしているのがわかると思います。
成虫になると黒くなるカブト虫やクワガタ虫も、土の中で過ごす幼虫は白いのです。
黒いメラニン色素は、太陽の下で生きていくには必要なのです。
約束の時に飛び立つ
外に出られる「羽」と「黒い体」を手に入れると
次は、タイミングを合わせる必要があります。
なんせ、羽蟻は外に出てしまうと数日も生きていけないのですから。
ほとんどが当日に死ぬか天敵のクモなどに食べられます。
そこで、同じタイミングを白蟻世界の暗黙の了解として
ヤマトシロアリは4月~5月、イエシロアリは6月ごろと時期を同じくして飛び立つことになっています。
しかし、これでもかなりの幅があるため
さらにタイミングを合わせる必要が出てきます。
羽蟻が飛ぶのは雨が降った次の日
そこで、4月下旬から5月上旬の雨が降った次の晴れた日の午前中に羽蟻は飛び立ちます。
目の見えない白蟻でも、雨かどうかは地面が濡れているため湿度でわかりますし、
夜ではなく午前かどうかは、土の温度が上がってくると太陽が昇り始めたことがわかります。
ここまで条件を合わせれば、あとはどこで会うかのみです。
余談ですが、この時期に雨が降り、次の日に雨が止む場合
白蟻業者は「この日かな、出るのは」と皆が言い出します。
もちろん、この「雨+次の日が晴れ」というのは数回発生するため
1つの巣で1回どこかのタイミングで群飛が起こります。
よく、問い合わせをした方で
「昨日羽蟻が出たから、急いでホームセンターで殺虫剤買ってきて、スプレーしたら今日は止まってるから大丈夫ですよね?」という方がいますが
それは、止まったのではなく「全員出発した」ので今年は一旦終わっただけです。
たとえ運よく、群飛中に殺虫剤で退治できても、それは飛び立つ数%だけが死んだだけで
また、来年、違う場所から新たに増えた巣から数%が出ますし、残りの95%以上は床下で木を食べ続けています。
群飛後の羽蟻の集合場所
日にちも時間もほぼぴったりとなった。
あとは、集合場所をどこにするかです。
実は、羽蟻は遠くに飛んでいくことができません。
これは、神様が「わざと自分たちの意志で方向決めれない」ようにしているのです。
白蟻の羽アリが飛べるのは光に向かい上にだけで、「飛んでいる」というよりも「舞っている」というのが近い表現です。
どういうことかというと、自分の意志で飛んだとしてもどこに飛べば出会えるのかなんてわかりません。
それだったら、全員が同じ方向の同じ条件で飛べば同じ場所にたどり着きます。
それが、風なのです。
白蟻の巣は1軒の家の敷地に数個は存在していると言われています。
私たちが普段目にしないだけで、白蟻はどこにでもいるのです。
同じ敷地内もしくは数軒隣くらいまでの巣にいる男女が、
同じ風に乗って、同じ風の流す場所へ飛ばされます。
そこで、彼らは他の巣の男女と出会うのです。
ペアが誕生し、土の中へと入っていく
地上に降り立った後、羽を切り離します。
もちろん、これだけの条件を揃えても
どこにメスが、オスがいるかは白蟻にはわかりません。
そこで、メスはオスを引き寄せるための性誘引フェロモンを出しながら進むことで
そのフェロモンの形跡を見つけた雄が、それを辿ってメスのいる場所を見つけ出します。
シロアリはどうやって意思疎通してるの?シロアリのフェロモンとは?
こうやって、ようやく出会うことが出来たペアは、
メスのお尻にオスがくっついて歩く「タンデム行動」を行い
さっそく、巣を作るために土の中に入ります。
タンデム行動をしている白蟻の男女
運が悪いと…
しかし、この出会いが人間の家の2階のベランダなどだった場合は最悪です。
そこに土がないため、結局その場所をうろうろして、最終的に息を引き取ります。
これまで出会ったこともない、約束すらしていない男女が
同じ日の
同じ時間に
同じ風に乗り
同じ場所にたどり着き
運命的に出会ったにもかかわらず
そのまま息絶えてしまうのです。
なんて悲しいことなのでしょうか。
昔はどこもかしこも土でしたが、今はどこもかしこもコンクリートです。
他の兄弟はうまくいったのでしょうか?
いえ、たいてい同じところで死んでしまいます。
きっと、来年も弟や妹たちが、風の吹き溜まりでもあるこの同じ場所(ベランダ)にたどり着き、そこで人生を終わりを迎えるのでしょう。
人間からすれば、毎回こんなところに来るな!と言いたくなりますが
白蟻も白蟻なりに大変なのです。
まとめ
なぜ、白蟻なのに羽蟻と言われるのか
羽蟻がどうして白蟻なのに黒いのか
どうして、4月~6月に飛ぶのか
その理由を今回ご紹介しました。
もし、羽蟻が飛んできて困っている方がこの記事を読んで
少しでも寛大な心を持っていただければ幸いです。
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執筆者:タケルさん(通称) ・大学卒業後、ウェブ業界へ就職 ・その後、転職後、現在まで防蟻業界に10年以上身を置く昭和生まれの現役のしろあり防除施工士 ・2020年より白蟻業界での経験を活かし「けんまめ」のエディターとして参加。 |
執筆者:タケルさん(通称) ・大学卒業後、ウェブ業界へ就職 ・その後、転職後、現在まで防蟻業界に10年以上身を置く昭和生まれの現役のしろあり防除施工士 ・2020年より白蟻業界での経験を活かし「けんまめ」のエディターとして参加。 |