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白アリ薬剤ミケブロックをご紹介|自分で白蟻工事(DIY)をするならこの薬剤

カテゴリ:白蟻の生態  白蟻工事  

シロアリ駆除や予防を自分でする方も中にはいます。
私も、実家などは自分でしています。
そこで、今回はネットなどでも自分で手に入れることが出来る業者と同じ薬剤でもあるミケブロックを紹介していこうと思います。

ミケブロックとは



ミケブロックは、有効成分ジノテフランを主成分とした白蟻防除薬剤です。



「ミケブロック」という名前自体は、三井化学アグロ株式会社の商標登録がされています。
しかし、一般向けに吉田製油所というところからも販売されています。


吉田製油所のミケブロック

業者が使用する薬剤と同じものを、一般の方も手に入れられる数少ない薬剤の一つです

と、いうことで
一般の方がミケブロックを購入するのであれば、きっとこの吉田製油所の商品になると思うのですが、この2社のミケブロックに違いはあるのでしょうか?

吉田製油所の白アリミケブロックと業務薬の違い



それぞれのパンフレットのリンクを下記に載せておきます。

三井化学アグロ株式会社のミケブロック商品パンフレット
吉田製油所のミケブロック商品パンフレット

ざっと、要約するとこんな感じです。

ミケブロック(土壌処理用)
--三井化学アグロ吉田製油所
作れる量200リットル
(2kg×100倍希釈)
200リットル
(2kg×100倍希釈)
有効成分ジノテフラン…20%ジノテフラン…20%


ミケブロック(木部処理用)
--三井化学アグロ吉田製油所
作れる量25リットル(500ml×50倍希釈)・2リットル(希釈済み)
・14リットル(希釈済み)
・20リットル(400ml×50倍希釈)
有効成分ジノテフラン…5%
F-69…5%
ジノテフラン…5%
F-69…5%


結局は、どっちでも同じものです。

木部処理剤は販売されているサイズが違うのですが
一般の方は1軒だけ、もしくは、部分的な処理を想定したものなので、吉田製油所のほうが余らずに使えるという点ではよいかと思います。


ミケブロックで自分で白蟻予防する(DIY)



土壌には土壌処理剤、木部へは木部処理剤を使用します。

ミケブロックの木部処理





木部への処理は、刷毛で木材面を一本ずつ塗るか



噴霧器などで噴射(噴霧)で散布します。




薬剤がもったいないと思うなら、刷毛で、一気にしてしまいたいなら噴霧器でという感じです。

ミケブロックの土壌処理



そして、最も薬剤を使う土壌処理。

基礎面などもこっちを散布します。



一応、しろあり対策協会の基準と同様の散布量目安が薬剤の説明にも載ってあります。
これは吉田製油所も同じです。

散布範囲が15坪だった場合の
使用薬剤目安が下記に載せておきます。


※グレーの部分が基礎と思ってください。
これは基礎が外側だけで、内側に基礎が全くないというあり得ない家ですので、
実際は基礎が内側にたくさんある分、散布量はもっと増えます。

見ていただくと分かる通り、
土にしみこんでいくことを考えても布基礎でも十分過ぎるくらいの薬剤散布量ですが
これがベタ基礎(コンクリート面)だった場合は、普通に水たまりというか、すごい水浸しになります。


15坪の範囲の床下に、ワンルームの浴槽5.5杯分の水をぶちまける感じですので当たり前です。
ある意味床下浸水状態です。

これは、あくまで布基礎での基準ですので、実際にベタ基礎でこれだけの量を散布することは(私は)ありません。
(律儀に守っている業者さんもあるとは思いますが…)

ミケブロック粒剤



ちなみに
ミケブロックには、粒剤も存在します。

※ミケブロック粒剤は一般用の販売はされていません。

この動画がわかりやすいかと思います。

ミケブロック粒剤 施工方法


これは、ミケブロック土壌処理剤の代わりに使用するもので
土壌面(基礎の床面)すべてに散布する液剤と違い、
基礎の内側や、束、束石、配管などの白蟻が木部へ上がってくる場所へ高さ5mm、幅3cm以上になるように粒剤(粒になった薬)を設置していきます。
液体ではないため蒸発・揮発しにくく、薬剤効果の持続性の向上、また、液剤と違い、施工箇所が容易に目視でわかるという利点もあります。

※木部には、上記の木部処理剤を使用します。

ハウスメーカーなどによっては、この粒剤の施工に関しては10年間の保証を出しているところもあるようです。

ちなみに、工事費用の話をすると、粒剤と液剤であれば粒剤のほうが高いです。
そして、すでに建った家に対しての粒剤処理は、必要なだけの粒剤が入った袋を床下へ運んで、基礎の周りなどに設置していくのですが、めんどくさく(工事をする人間からすると)あまりしたくないというのが本音です。

ジノテフランとは



ミケブロックの有効成分ジノテフランとは、ネオニコチノイド系の薬剤で、名前から推測される通り、たばこの有害成分であるニコチンの構造をまねて開発された薬剤です。

詳しくは「シロアリ工事薬剤の効果や特徴、しろあり対策協会認定薬剤の名前をご紹介!」を参照

ネオニコチノイド系は、それまで主流だった3大薬剤系「有機リン系殺虫剤」「合成ピレスロイド系殺虫剤」「カーバメート系殺虫剤」の薬剤が、耐性により駆除できない害虫に対して1990年代から使用されるようになった薬剤です。

植物への浸透性、薬剤効果がすぐには消えない残効性、それ自体の神経毒性の特徴から、日本国内でも農薬として広く使用されており、散布した植物を食べた害虫(カメムシやアブラムシ、蛾の幼虫など)に対する駆除剤として幅広く使用されています。

また、ジノテフランはネオニコチノイド系の中でも
第1世代と呼ばれる「クロロニコチニル系化合物(クロロピリジン環)」と
第2世代の「チアニコチニル化合物(クロロチアゾール環)」の次に登場した
第3世代「フラニコチニル系化合物(テトラヒドロフラン環)」に当たります。

前世代のものと比べ

・植物内などの浸透移行性に優れる
・従来よりも広範囲の種類の殺虫に効く
・さらに少ない薬剤量でも高い殺虫効果

が確認されている三井化学株式会社が開発した殺虫剤です。

ネオニコチノイド系神経毒の作用



昆虫の中枢神経における伝達物質でもあるアセチルコリンの「偽の伝達物質」に成り代わり、アセチルコリンを受ける受容体と結合することで、アセチルコリンの本来の働きを阻害します。
これにより、神経伝達が正常に機能しなくなることで、昆虫は痙攣状態となり麻痺を起こすことで徐々に死に至ります。

しかし、ネオニコチノイド系は
生物濃縮によりミツバチなどによる急性毒性が非常に高いことが知られています。



新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間


ヒトへの影響
農薬の毒性評価は、対象動物の死亡率で行われ、分解代謝物が内分泌や神経作用に与える、影響の評価が不充分と指摘されている。
ただヒトに対する急性毒性は低く、慢性毒性、発がん性、繁殖性、催奇形性及び変異原性の試験でも問題は認められなかったと、内閣府食品安全委員会の審査で報告されている。
ラットを用いた代謝試験では投与後、24時間以内に96%以上がそのまま排出され、蓄積はしなかった。
ただし胎児や幼児への影響は研究途上であり不明である。
短時間に大量摂取した場合には、急性中毒を起こす。
ネオニコチノイド-Wikipediaより


シロアリ薬剤としてのジノテフラン



通常の薬をかけて殺す「エアゾールタイプ(スプレー式)殺虫剤」であれば
①かけた瞬間にすぐに死ぬという即効性
②かけた場所にはその害虫が近づかない忌避性(きひせい)
が大事となります。



このジノテテフランを含むネオニコチノイド系には
その真逆の
①効果がすぐには表れない遅効性(ちこうせい)
②白蟻が薬剤処理部分に気付かない非忌避性(ひきひせい)
という特徴があります。

これは、白蟻に対しては高い優位性があります。

まず、駆除であれば
「即効性」がある場合、薬をかけることが出来た数匹~数十匹の白蟻はその場で殺せますが
巣の中にいる残りの数万匹の白蟻は死に至りません。
そして、「忌避性」がある場合、白蟻はその木を食べることを(しばらく)止めますが
薬剤をかけていない他の木材があると、その木へと被害が知らず知らずのうちに転移していきます。

しかし、ジノテフランのように「遅効性」であれば、
まず、薬剤を散布されたとしても白蟻は(死なずに)慌てて巣へと逃げ帰ります。
直接液剤を散布されなかった白蟻も、巣と木材の間(=床下)に散布した個所を行ったり来たりすることで薬剤に触れます。

そして、巣の中に戻ると、お互いを舐め合ってきれいにする「グルーミング行動」という習性があるため、徐々に他の白蟻へと薬剤が広がっていきます。


ヤマトシロアリのグルーミング行動

最終的には、巣ごと駆除してしまう効果を発揮できる可能性も出てきます。
これには、薬剤に触れていることに気付かせない必要があるので、ここで「非忌避性」が役に立つのです。

白蟻の予防も同じで
薬剤を床下に散布しておけば、薬剤散布した面や土の中を通って木部へ白蟻はやって来るので
木部に到達する前に、薬剤に触れ、木に到達する前に巣ごと死んでしまいます。

白蟻防除のポイントは、
「すぐに毒で殺す+寄せ付けない」
ではなく
「毒に気付かせない+毒を行き渡らせてから殺す」
ということなのです。

まとめ



ミケブロックは今でも多くの白蟻業者が使っている薬剤です。安全面の点でも比較的優れているので
自身で散布できる機材などをお持ちなのであれば、DIYとしてやってもいいのではないかと思います。

ただ、薬剤が余ったりすると魚毒性などもあり溝などには捨てられないので、その点は注意が必要です。

あと、マニュアル通りに散布しても、薬剤メーカーから保証が出るわけではないので
散布後に白蟻が出た(被害が発生した)からといっても誰も責めることは出来ませんし、自己責任となります。

本当に心配なら、
そして、もし駆除なのであれば、業者にしてもらい保証を付けてもらうほうが良いと思います。

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執筆者:タケルさん(通称)
・大学卒業後、ウェブ業界へ就職
・その後、転職後、現在まで防蟻業界に10年以上身を置く昭和生まれの現役のしろあり防除施工士
・2020年より白蟻業界での経験を活かし「けんまめ」のエディターとして参加。
執筆者:タケルさん(通称)
・大学卒業後、ウェブ業界へ就職
・その後、転職後、現在まで防蟻業界に10年以上身を置く昭和生まれの現役のしろあり防除施工士
・2020年より白蟻業界での経験を活かし「けんまめ」のエディターとして参加。