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ベタ基礎でのシロアリの侵入経路は?新築でも白蟻が出る理由を紹介

カテゴリ:白蟻の生態  

最近の新築は、ほぼ100%がベタ基礎
コンクリートで固められた床下からどうやって白蟻が入ってくるのでしょうか?




そこで、その経路をご説明しようと思います。

昔から布基礎で白蟻が出やすい場所というと
水回りの浴室・洗面所・トイレ・台所が良く挙げられていました。

しかし、実際に床下に数千軒以上入った経験上でいれば
浴室・トイレ・玄関の3つがダントツでした。

それは、床下が土だったからです。



ここから侵入されていたため、被害が大きくなるまで見つけることが出来なかったのが原因です。

それでは、今はどうなっているかというと



他の部屋と同じく、下に土があるわけではなくなったため
「水回りだから出やすい」ということはなくなりました。

玄関



しかし、ひとつだけ変わっていないところがあります。



そう、玄関です。

白蟻の侵入経路



この部分は、以前と同様に下に土があり、そこから框などを狙って白蟻が上がってきます。
そのため、実はこの玄関が一番被害に遭いやすいのです。

また、もし下図のように木が土に突き刺さっている(ような)部分でもある玄関扉の両サイドの柱も食べられます。



予防方法



玄関の白蟻予防のメイン作業として
白蟻業者は、この下の土を薬剤で消毒することで
ここから、白蟻が入ってこないように家を守るのです。



玄関タイルの目地(十字のところ)にドリルで穴をあけて
そこから薬剤を注入します。

しかし、最近は
このドリルが貫通しないほどタイル下のコンクリートが分厚くなっていることが多く
処理が出来ない家が増えています。



もしかすると、「ここ(タイル下のモルタル)が薄いから白蟻に食べられる」と思い
ここを分厚くしているのかもしれませんが
正直言えば、分厚くしたところで同じです。
コンクリートの経年劣化で生じる収縮による隙間から入ってくるため
厚くしても素材が同じなら同じ現象が起きます。
ただ、白蟻予防できないというだけです。

ちなみに、もし玄関扉の両サイドの柱がタイルの下に入っている場合は、
柱の根元に穴をあける薬剤を打つことで
食べられてもそれ以上上がってこないようにします。


布基礎では基本的に必ずこの処理をすることが多いです。

ベタ基礎の床下



それでは次に、皆さんが不思議に思うコンクリートで囲まれた床下を見てみましょう。

白蟻の侵入経路



基本的に今まで侵入してきたことがあったのは下記の4か所です。

・セパレーター金具

・コンクリートの打ち継ぎ部分

・水抜き穴

・配管周り

どれも、施工不良のため入ってくるわけではありません。
入ってきても仕方がないのです。


基礎にできた隙間から侵入した白蟻(の蟻道)

セパレーター金具からの侵入





これは、縦のコンクリートを流し込み固めるときに使用する型枠を固定する金具です。
この金具の劣化(さび等)によって生じた隙間から白蟻が侵入してきます。

セパレーター金具からの侵入については下記サイトに詳しく載っています。
日経クロステック(xTECH)

コンクリートの打ち継ぎ部分からの侵入





コンクリート基礎は、底面をまず作ったのち
壁となる縦のコンクリートを作ります。
横から見ると上下に2つのコンクリートがくっついている状態です。




2つのコンクリートの接続部分には建築時にはなかった隙間が
時間の経過とともに生じるのです。



特に家を建てたすぐは、「水+砂利+セメント」で出来たコンクリートの水分が
約一年ほどかけて大量に抜けるため、それにより体積が縮み、収縮します。
中に鉄筋を入れることで、収縮を抑えはしますがコンクリートの使用量の多い床下は特にそうなります。

もちろん、そのあともコンクリートは、わずかな収縮・膨張を繰り返しながら徐々に劣化していきます。
そこで生じたわずか0.7mmほどの隙間から白蟻は侵入してきます。

水抜き穴からの侵入





これは、基礎ができた後、屋根を作り、床をはるまでに雨が降った場合に基礎の内側がプールにようになります。



その水を抜くために、基礎際に水の抜くための穴を開けます。


基礎の外側


基礎の内側

床をはったのちは、基礎の内側からこれを塞ぐことはしない(できない)ので
外側からモルタルなどで塞ぐ程度になります。
そして、ここから、白蟻が入ってくるのです。

配管周りからの侵入





基礎を貫通する配管の周りには、最初から隙間を設けている場合が多々あります。
これは、ぴったりにコンクリートを流し込んで固めると、コンクリートの膨張・収縮で配管が割れる可能性があるからです。




そして、ある程度隙間を作っているのは、地震の多い日本において
コンクリートの揺れにより、土に埋まって固定されている配管が割れる危険性があるからです。
このため、配管自体を底面を通さず、壁面の基礎に穴をあけて通すことが最近は多いように思います。

床下を作らない構造の家の危険性



最近、地熱などを利用するということで、床下を作らない家や



床下は様々な配管やダクトだけを通し人が入れない15センチ程度の高さしかない家も出てきています。



私も床下がない家から「白蟻が出た」ということで点検に行ったことがありますが
この場合は、もう最悪です。

何が最悪かというと
「食べられたら、家の一部でも壊さない限り、もう食べられ続けるしかない」ということです。

なぜかと言うと、
シロアリが家の木材(土台や柱や大引きや床板など)を加害するときには
地中と木材の間に位置する床下空間を必ず通ります。
そのために、そこに薬を巻くことで駆除・予防ができるのです。

床下がないということは、地中と木材を極力近づけて
その間に薬をまく空間を作らないことを意味します。

要するに「白蟻駆除ができない物件」なのです。

もちろん、加害部分を薬剤処理することで多少の駆除効果は出ますが
ただのイタチごっこです。
加害している白蟻を巣ごと駆除できたとしても、ほかの白蟻の巣からまたしばらくすると別の場所を加害されます。
特に一度被害に合った物件は、かなりの確率で薬剤効果が切れたと後に再発します。

床下がない物件は、基本的に被害部しか確実は処理は行えません。
もしくは家中の全ての床を全面穿孔となりますが、効果があるかはなんとも言えないというのが事実です。

要するに、
駆除しても他の部分が食べられ、
また次の被害が大きくならないと分からないという構造なのです。

ベイト工法などの方法などもあるにはありますが
予防でなく駆除を目的とした場合に、期待通りの効果が得られるか疑問です。



ベイト工法は毒餌を土に埋めて、家の木に到達する前に、家の周りに埋めた毒餌にシロアリを誘って予防するという方法です。

しかし、
今食べている食害部分の木材を諦めて
わざわざ、別の場所の木材を食べるのか?ということに加えて、
そもそも、薬剤で散らすことで別の場所に行ったとしても
他の家の木材でなく、屋外に設置したベイトの毒餌にシロアリが見つけてくれるかなど誰もわからないからです。


ちなみに、白蟻駆除ができない物件と書きましたが
ベイトで事前に予防することなら可能です。
(もちろん、それで被害が出ないという保証はありませんが...)

まとめ



多くの人が勘違いしていることがあります。
ベタ基礎は白蟻対策のためにあるわけではないということです。
点検時に私も説明をよくしていることがそのことです。

「ベタ基礎だから白蟻は出ない」というのは
「冷蔵庫に入れてるから食べ物は腐らない」というのと同じです。
冷蔵庫に入れていないと腐りやすいだけで、入れたからといって腐らないわけではないのです。

同じく「布基礎に比べれば」というだけで、白蟻は出ます。
だからこそ、国は木造においては新築時に白蟻予防を建築基準法に定めて(ほぼ)義務化しているのです。

白蟻予防の薬剤は5年と言われています。
家が建って5年経てば、そこから先は住んでいる人の責任となります。

白蟻予防ができる構造の家なのであれば白蟻予防工事をやっておくことをお勧めします。

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執筆者:タケルさん(通称)
・大学卒業後、ウェブ業界へ就職
・その後、転職後、現在まで防蟻業界に10年以上身を置く昭和生まれの現役のしろあり防除施工士
・2020年より白蟻業界での経験を活かし「けんまめ」のエディターとして参加。
執筆者:タケルさん(通称)
・大学卒業後、ウェブ業界へ就職
・その後、転職後、現在まで防蟻業界に10年以上身を置く昭和生まれの現役のしろあり防除施工士
・2020年より白蟻業界での経験を活かし「けんまめ」のエディターとして参加。