けんまめTOP > 現役しろあり防除施工による白蟻についての公開記事一覧 > シロアリ対策にバルサンやアースレッドのくん煙処理は意味がない理由とは?
シロアリ対策にバルサンやアースレッドのくん煙処理は意味がない理由とは?
カテゴリ:白蟻工事
白蟻の駆除に
バルサンやアースレッドなどのくん煙処理(けむりを焚く処理)剤で何とかしたいと思ったことがある人もいるのではないでしょうか?
バルサン 「家庭用まるごと殺虫くん煙剤」篇
かく言う、しろあり防除施工士である私も考えたことがあります。
バルサンで白蟻予防や白蟻駆除はできるのかと。
そこで、成分を調べてみると
基本的には白蟻駆除で使う薬剤と同じでした。
くん煙処理に使われる成分をさっと見てみましょう。
現在(2021年時点)のバルサンの成分は
d・d-T-シフェノトリン
メトキサジアゾン
フェノトリン
です。
アースレッドWもほぼ同様です。
ピレスロイド系殺虫剤で、神経伝達系に作用して死に至ります。
フェノトリンも同様にピレスロイド系です。
オキサジアジン系の薬剤で
ピレスロイド系の殺虫剤とは真逆の効果があるため、ピレスロイド系が効かない虫にも効果があり
一般的には、ピレスロイド系よりも殺虫力が強いと言われています。
「ピレスロイド系」は現在シロアリ駆除で使用されているものです。
「有機リン系」は1986年以降~2000年にかけて白蟻薬剤で使用されてきました。
しかし、2000年以降にはシックハウス症候群の一因として新聞で取り沙汰されるようになり
公益社団法人日本しろあり対策協会が有機リン系の自主規制」を開始したため、
現在は白蟻業者内では禁止に近い形になっているので使っているところは少ないと思います。
白蟻の薬剤の各種効果などはこちらで詳しく説明しています。
それでは、
なぜ白蟻対策として意味がないのかを見ていきましょう。
結論から言えば、
「白蟻予防」に関して言えば効果は皆無です。
というのは、
「予防」というのは、これからやって来る白蟻に対してある程度の期間、殺虫成分が効くことでであり、
バルサンは、薬剤効果が持続するではない(残効性がない)ので、予防としての効果は「0」なのです。
残効性の面で言えば、「バルサンをしている間は部屋から出る」と言うのを皆さんご存じの通り、
薬剤がずっと室内の生活空間に残ってしまうのは、そもそも良くはないのです。
それでは、「白蟻駆除」はどうか?
先に述べた通り、成分としては有効なので白蟻を殺すことはできます。
しかし、ガムテープやコロコロでとったり、スプレー式の殺虫剤を使ったり、掃除機で吸ったり、スリッパで叩いたりして殺すのと同じです。
一時的に目の前にいる白蟻だけです。
見えない白蟻は殺せません。
逃げた白蟻にも、きっと効果は届かず効かないでしょう。
床下から侵入した白蟻が、床上の木まで上がってきてしまった(柱や床板が食べられた)場合を想定してみましょう。
もしくは、床上の生活空間に羽蟻が大量に室内に出たとしましょう。
皆さんが白蟻の被害に気付き、被害部に付着している土(蟻土)を崩すと、そこに白蟻がいたとしても
白蟻は光のある場所を嫌うので、光が当たった瞬間に木の中へと逃げていきます。
木の中にまで煙は届くのか?
ゴキブリが通り、隠れるくらい大きな部屋の隙間は煙が入っていっても
バルサンの煙は1mm程度の穴から木の中にまでは十分に入ってはいきません。
もし、仮に
白蟻が通る1mm程度の隙間から煙が大量に入っていくほどの「大量の煙の噴出」と「加圧力」「長時間におよぶ噴出時間」がバルサンが備えていたらどうなるか。
バルサンを焚いている部屋を密閉しても、隙間から部屋の外にまで大量に噴き出して危険です。
また、長時間その状態が続くのも危険です。
それでは、白蟻の通り道でもある
床下にバルサンを焚いたらどうなるでしょう?
床下は基礎という壁で囲まれていますが、多くが基本的にはすべてがつながっています。
そのため、1つだけバルサンを点検口(キッチンや洗面所の床下収納)の下において噴射しても、
床下は外気が入り、空気が流れるように作られているので、ほとんど意味がありません。
密閉された空間ではないので、窓を少し開けてバルサンを焚いてるようなものです。
そもそも、「空気(や湿気)がこもる構造」に建築時点でもしていないでしょうし。
では、床下全面に行き渡るようバルサンを焚くということだけに焦点を絞ってやってみましょう。
まず、床下に入り、各部屋(これは基礎で区切られた部屋という意味です)の下にバルサンを設置します。
大量のバルサンを購入・使用することになります。
1個500円として5つ使えば2500円ほどかかります。
遠隔で噴射させることはできないので、置いたそばから順番に噴射させていきます。
もちろん、次の部屋の下へと移動しながら大量の煙を吸うことになるでしょう。
場合によっては、煙が床上にまで床板の隙間から室内に流れ込む可能性もあります。
少なくとも外との通気口(もしくは基礎パッキン)や、点検口から煙があふれ出ることにはなるでしょう。
特に
作業中(設置中)は点検口から煙が上に上がるので、
点検口がキッチンにあるなら、
そこには食べ物や食器などを置いておかないほうが良いかと思います。
もし床下で蟻道(土のトンネル)が発生しているのを見つけたら、白蟻は蟻道で煙から守られているので崩す必要があります。
しかし、崩した瞬間に白蟻が警報フェロモンを出して、すぐにそこからは一時的にいなくなるでしょう。
参照:シロアリはどうやって意思疎通してるの?シロアリのフェロモンとは?
結局、白蟻がいなくなった後に、バルサンを焚くことになります。
100歩譲って、
運よく数匹~数十匹がバルサンで死んだとしましょう。
残りの99%の白蟻は土の中です。
バルサンで死んだ白蟻も当日中に新しく生まれる数十~数百匹の白蟻で数日で補充されるでしょう。
そして、
何より、バルサンの効果が切れた数時間後には、またいつでも戻ってきて食べ始めることが可能です。
※ちなみに、燻煙処理のものは、有害な煙を一気に外へ出すため
「噴射後に窓を開けて空気を換気してください」ということが大体書いてあると思いますが
窓のない床下で、はこれが出来ないので注意してください。
そもそも、ゴキブリを含めた床上に住んでいる室内の害虫と違い
白蟻が住んでいるのは土の中にいます。床下の空間も、所詮はただの通り道です。
今更ですが、
くん煙処理(バルサンやアースレッド)の殺虫剤は、土の中の虫を対象に作られていないのです。
予防は無意味、
駆除はその場の白蟻だけ
というのがお分かりいただけたかと思います。
もともと、予防・駆除の関わらず「白蟻工事の目的」とは
処理後の一定の期間はそれ以上の白蟻の発生を抑えること・被害を止めることです。
処理時にほとんどの白蟻は死なずに、予防効果もなく
処理後にすぐまた進行が進むというのは白蟻工事(の代替案)としての目的を全く果たしていません。
以上のことから、
床下から侵入する白蟻に対しては「くん煙処理」は全く無意味なのです。
そもそも、
「シロアリ駆除・予防用にも効果あり」などと商品自体にも書いていないのですから。
ちなみに、アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリなどの地下シロアリではない白蟻には燻蒸処理という方法が用いられます。
詳しくは「アメリカカンザイシロアリの駆除方法や保証は?分布や特徴を紹介」にて
ただ、カンザイシロアリの駆除にもバルサンが効くとは思えないので
その点だけお間違えの無いよう…
バルサンやアースレッドなどのくん煙処理(けむりを焚く処理)剤で何とかしたいと思ったことがある人もいるのではないでしょうか?
バルサン 「家庭用まるごと殺虫くん煙剤」篇
かく言う、しろあり防除施工士である私も考えたことがあります。
バルサンで白蟻予防や白蟻駆除はできるのかと。
そこで、成分を調べてみると
基本的には白蟻駆除で使う薬剤と同じでした。
くん煙処理の成分
くん煙処理に使われる成分をさっと見てみましょう。
バルサンの成分
現在(2021年時点)のバルサンの成分は
d・d-T-シフェノトリン
メトキサジアゾン
フェノトリン
です。
アースレッドの成分
アースレッドWもほぼ同様です。
d・d-T-シフェノトリンとは
ピレスロイド系殺虫剤で、神経伝達系に作用して死に至ります。
フェノトリンも同様にピレスロイド系です。
メトキサジアゾンとは
オキサジアジン系の薬剤で
ピレスロイド系の殺虫剤とは真逆の効果があるため、ピレスロイド系が効かない虫にも効果があり
一般的には、ピレスロイド系よりも殺虫力が強いと言われています。
白蟻工事の薬剤として
「ピレスロイド系」は現在シロアリ駆除で使用されているものです。
「有機リン系」は1986年以降~2000年にかけて白蟻薬剤で使用されてきました。
しかし、2000年以降にはシックハウス症候群の一因として新聞で取り沙汰されるようになり
公益社団法人日本しろあり対策協会が有機リン系の自主規制」を開始したため、
現在は白蟻業者内では禁止に近い形になっているので使っているところは少ないと思います。
白蟻の薬剤の各種効果などはこちらで詳しく説明しています。
それでは、
なぜ白蟻対策として意味がないのかを見ていきましょう。
殺虫剤としての意味はあるが...
結論から言えば、
「白蟻予防」に関して言えば効果は皆無です。
というのは、
「予防」というのは、これからやって来る白蟻に対してある程度の期間、殺虫成分が効くことでであり、
バルサンは、薬剤効果が持続するではない(残効性がない)ので、予防としての効果は「0」なのです。
残効性の面で言えば、「バルサンをしている間は部屋から出る」と言うのを皆さんご存じの通り、
薬剤がずっと室内の生活空間に残ってしまうのは、そもそも良くはないのです。
それでは、「白蟻駆除」はどうか?
先に述べた通り、成分としては有効なので白蟻を殺すことはできます。
しかし、ガムテープやコロコロでとったり、スプレー式の殺虫剤を使ったり、掃除機で吸ったり、スリッパで叩いたりして殺すのと同じです。
一時的に目の前にいる白蟻だけです。
見えない白蟻は殺せません。
逃げた白蟻にも、きっと効果は届かず効かないでしょう。
床上(生活空間)に発生した白蟻とバルサン
床下から侵入した白蟻が、床上の木まで上がってきてしまった(柱や床板が食べられた)場合を想定してみましょう。
もしくは、床上の生活空間に羽蟻が大量に室内に出たとしましょう。
皆さんが白蟻の被害に気付き、被害部に付着している土(蟻土)を崩すと、そこに白蟻がいたとしても
白蟻は光のある場所を嫌うので、光が当たった瞬間に木の中へと逃げていきます。
木の中にまで煙は届くのか?
ゴキブリが通り、隠れるくらい大きな部屋の隙間は煙が入っていっても
バルサンの煙は1mm程度の穴から木の中にまでは十分に入ってはいきません。
もし、仮に
白蟻が通る1mm程度の隙間から煙が大量に入っていくほどの「大量の煙の噴出」と「加圧力」「長時間におよぶ噴出時間」がバルサンが備えていたらどうなるか。
バルサンを焚いている部屋を密閉しても、隙間から部屋の外にまで大量に噴き出して危険です。
また、長時間その状態が続くのも危険です。
床下に発生した白蟻とバルサン
それでは、白蟻の通り道でもある
床下にバルサンを焚いたらどうなるでしょう?
床下は基礎という壁で囲まれていますが、多くが基本的にはすべてがつながっています。
そのため、1つだけバルサンを点検口(キッチンや洗面所の床下収納)の下において噴射しても、
床下は外気が入り、空気が流れるように作られているので、ほとんど意味がありません。
密閉された空間ではないので、窓を少し開けてバルサンを焚いてるようなものです。
そもそも、「空気(や湿気)がこもる構造」に建築時点でもしていないでしょうし。
床下全面にバルサンを焚く場合
では、床下全面に行き渡るようバルサンを焚くということだけに焦点を絞ってやってみましょう。
まず、床下に入り、各部屋(これは基礎で区切られた部屋という意味です)の下にバルサンを設置します。
大量のバルサンを購入・使用することになります。
1個500円として5つ使えば2500円ほどかかります。
遠隔で噴射させることはできないので、置いたそばから順番に噴射させていきます。
もちろん、次の部屋の下へと移動しながら大量の煙を吸うことになるでしょう。
場合によっては、煙が床上にまで床板の隙間から室内に流れ込む可能性もあります。
少なくとも外との通気口(もしくは基礎パッキン)や、点検口から煙があふれ出ることにはなるでしょう。
特に
作業中(設置中)は点検口から煙が上に上がるので、
点検口がキッチンにあるなら、
そこには食べ物や食器などを置いておかないほうが良いかと思います。
もし床下で蟻道(土のトンネル)が発生しているのを見つけたら、白蟻は蟻道で煙から守られているので崩す必要があります。
しかし、崩した瞬間に白蟻が警報フェロモンを出して、すぐにそこからは一時的にいなくなるでしょう。
参照:シロアリはどうやって意思疎通してるの?シロアリのフェロモンとは?
結局、白蟻がいなくなった後に、バルサンを焚くことになります。
100歩譲って、
運よく数匹~数十匹がバルサンで死んだとしましょう。
残りの99%の白蟻は土の中です。
バルサンで死んだ白蟻も当日中に新しく生まれる数十~数百匹の白蟻で数日で補充されるでしょう。
そして、
何より、バルサンの効果が切れた数時間後には、またいつでも戻ってきて食べ始めることが可能です。
※ちなみに、燻煙処理のものは、有害な煙を一気に外へ出すため
「噴射後に窓を開けて空気を換気してください」ということが大体書いてあると思いますが
窓のない床下で、はこれが出来ないので注意してください。
白蟻はゴキブリと住んでる場所が違う
そもそも、ゴキブリを含めた床上に住んでいる室内の害虫と違い
白蟻が住んでいるのは土の中にいます。床下の空間も、所詮はただの通り道です。
今更ですが、
くん煙処理(バルサンやアースレッド)の殺虫剤は、土の中の虫を対象に作られていないのです。
白蟻工事の目的とかけ離れている
予防は無意味、
駆除はその場の白蟻だけ
というのがお分かりいただけたかと思います。
もともと、予防・駆除の関わらず「白蟻工事の目的」とは
処理後の一定の期間はそれ以上の白蟻の発生を抑えること・被害を止めることです。
処理時にほとんどの白蟻は死なずに、予防効果もなく
処理後にすぐまた進行が進むというのは白蟻工事(の代替案)としての目的を全く果たしていません。
まとめ
以上のことから、
床下から侵入する白蟻に対しては「くん煙処理」は全く無意味なのです。
そもそも、
「シロアリ駆除・予防用にも効果あり」などと商品自体にも書いていないのですから。
ちなみに、アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリなどの地下シロアリではない白蟻には燻蒸処理という方法が用いられます。
詳しくは「アメリカカンザイシロアリの駆除方法や保証は?分布や特徴を紹介」にて
ただ、カンザイシロアリの駆除にもバルサンが効くとは思えないので
その点だけお間違えの無いよう…
現役しろあり防除施工による記事一覧
シロアリの蟻道が出来るまでの期間とは?1か月?1年? (白蟻の生態) |
シロアリの蟻道(ぎどう)と4つの役割とは? (白蟻の生態) |
5年に一度もシロアリ予防が必要ない理由とは?|自分でDIYするなら? (白蟻の生態,白蟻工事) |
白アリ薬剤ミケブロックをご紹介|自分で白蟻工事(DIY)をするならこの薬剤 (白蟻の生態,白蟻工事) |
基礎断熱の家における(建築後の)白蟻対策がほぼ無意味な理由とは (白蟻工事) |
シロアリ工事薬剤の効果や特徴、しろあり対策協会認定薬剤の名前をご紹介 (白蟻工事) |
シロアリ対策にバルサンやアースレッドのくん煙処理は意味がない理由とは? (白蟻工事) |
シロアリ駆除に対する補助金は基本的にありません。火災保険も適用出来ない理由は (白蟻の生態,白蟻工事) |
シロアリの女王の一生をご紹介|副女王や、大きさ・寿命・画像なども (白蟻の生態) |
シロアリのベイト工法とは?料金や目安やメリット・デメリットを紹介 (白蟻の生態) |
ベタ基礎でのシロアリの侵入経路は?新築でも白蟻が出る理由を紹介 (白蟻の生態) |
アメリカカンザイシロアリの駆除方法や保証は?分布や特徴を紹介 (白蟻の生態,白蟻工事) |
羽アリは羽が生えたシロアリ?白蟻の羽アリをご紹介 (白蟻の生態) |
シロアリの大きさは?成虫や卵の大きさをご紹介 (白蟻の生態) |
シロアリにとっての天敵とは?白蟻を餌とする生き物をご紹介 (白蟻の生態) |
もしかしてシロアリ?羽蟻?シロアリに似た虫をご紹介 (白蟻の生態) |
鉄筋コンクリートのマンションやアパートにシロアリは出る?シロアリ駆除費用は誰が負担? (白蟻の生態) |
シロアリの糞(ふん)はどんなもの?アメリカカンザイシロアリの糞は? (白蟻の生態) |
シロアリは食べられる?昆虫食(食用)として白蟻の重要性 (白蟻の生態) |
シロアリはゴキブリの仲間?白蟻駆除でゴキブリはいなくなりますか? (白蟻の生態,白蟻工事) |
シロアリはどうやって意思疎通してるの?シロアリのフェロモンとは? (白蟻の生態) |
シロアリは目が見えない?視力はどれくらい? (白蟻の生態) |
シロアリが直接人体へ与える影響はありますか? (白蟻の生態) |
自然界の益虫でもあるシロアリの自然界での役割 (白蟻の生態) |
シロアリはいつ寝るの?シロアリの睡眠時間は? (白蟻の生態) |
シロアリは冬眠するんですか? (白蟻の生態) |
執筆者:タケルさん(通称) ・大学卒業後、ウェブ業界へ就職 ・その後、転職後、現在まで防蟻業界に10年以上身を置く昭和生まれの現役のしろあり防除施工士 ・2020年より白蟻業界での経験を活かし「けんまめ」のエディターとして参加。 |
執筆者:タケルさん(通称) ・大学卒業後、ウェブ業界へ就職 ・その後、転職後、現在まで防蟻業界に10年以上身を置く昭和生まれの現役のしろあり防除施工士 ・2020年より白蟻業界での経験を活かし「けんまめ」のエディターとして参加。 |